バイバック効果は1日で消滅、長期金利は介入前の水準へ逆戻り
前日に米財務省が長期債の買い戻し倍増を発表して急低下した米国債利回りは、20日には全面的に巻き戻された。30年債利回りは5.7bp上昇の5.251%、10年債利回りも5.1bp上昇の4.704%と、いずれもベッセント財務長官の発表直前の水準へ戻っている。市場が需給対策を「財政赤字とインフレという構造問題の解決ではない」と評価し直した形で、株式の下支え材料は1営業日で失われた。
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米財務省バイバックによる金利低下がわずか1日で巻き戻され、ウォルマートの既存店減速による9%安がNYダウを押し下げ、米主要3指数は揃って下落。金は4,584ドルへ続伸し原油も上昇した。
前日に米財務省が長期債の買い戻し倍増を発表して急低下した米国債利回りは、20日には全面的に巻き戻された。30年債利回りは5.7bp上昇の5.251%、10年債利回りも5.1bp上昇の4.704%と、いずれもベッセント財務長官の発表直前の水準へ戻っている。市場が需給対策を「財政赤字とインフレという構造問題の解決ではない」と評価し直した形で、株式の下支え材料は1営業日で失われた。
元記事を見る →ウォルマートの5〜7月期はEPS・売上高とも市場予想を上回り、通期見通しも引き上げたが、株価は約9%安と2022年5月以来の下落率を記録した。焦点となったのは米国既存店売上高が前年同期比2.6%増と市場予想の3.7%増に届かず、2020年以来の低い伸びにとどまった点で、次四半期の売上見通しも予想を下回った。ダウ構成銘柄の中で最大の下落要因となり、指数を1.28%押し下げる主因となっている。
元記事を見る →金先物は2.12%高の4,584.6ドルと2日連続で大幅高となった。通常は利回り上昇が逆風となる無利息資産が金利反発局面でも買われたことは、実質金利ではなく財政・通貨価値への警戒が主導する買いであることを示唆する。原油はUAEがイランとの金融・経済取引停止を発表し、ホルムズ海峡近辺で船舶被害の報道が出たことから供給不安が続き、WTIは86.66ドルへ上昇した。
元記事を見る →20日の東京市場は前日の急落の反動で日経平均が890円高の66,216円と反発したが、その後の米国市場では長期金利がバイバック発表前の水準まで逆戻りし、主要3指数が揃って下落した。前日の反発を支えた「米金利低下」という前提が崩れたため、21日の東京市場では買い戻し一巡後に上値の重い展開となりやすい。原油高が続く一方でドル円は159円台前半と円安方向に振れており、輸出関連には支援材料だが資源高によるコスト増と相殺されやすく、指数全体では方向感を欠く可能性が高い。米PMI速報値の発表は日本時間の取引時間外となるため、週末を控えたポジション調整も出やすい。
8月20日の米国市場は主要3指数が揃って下落した。S&P 500は0.84%安の7,643.51、NASDAQ総合は0.98%安の26,072.41、NYダウは1.28%安の52,777.31。前日に株式を支えた米財務省の長期債バイバック倍増という材料が、わずか1営業日で市場から否定された格好だ。
30年債利回りは5.7bp上昇して5.251%、10年債利回りも5.1bp上昇して4.704%となり、いずれもベッセント財務長官の発表直前の水準へ戻った。買い戻しオペは償還構造に手を入れる需給対策にすぎず、財政赤字とインフレ圧力という発行側の構造問題を変えるものではない、という評価に市場が回帰したことになる。当局の介入余地が限られていることを確認した点で、金利上昇局面の質は前日よりむしろ悪化している。
個別ではウォルマートが約9%安と2022年5月以来の下落率を記録し、ダウの下げを主導した。決算はEPS・売上高とも予想を上回り通期見通しも上方修正されたが、米国既存店売上高が2.6%増と予想の3.7%増に届かず、2020年以来の低い伸びとなった。ディフェンシブの代表格が消費減速を示したことで、金利上昇と消費鈍化が同時に意識される展開となった。
商品市況も警戒色が強い。金は2.12%高の4,584.6ドルと、利回りが上昇するなかでも続伸した。通常なら逆風となる環境での上昇は、実質金利ではなく財政・通貨価値への不信が買いの主因であることを示す。原油はUAEによるイランとの取引停止発表やホルムズ海峡周辺の船舶被害報道を受けてWTIが86.66ドルへ上昇し、インフレ期待の押し上げ要因として金利上昇と相互に作用している。