概況
8月21日の米国市場は主要3指数が揃って反発した。S&P 500は0.44%高の7,674.90、NASDAQ総合は0.43%高の26,179.92、NYダウは0.98%高の53,276.42。前日にウォルマートの既存店減速で崩れた地合いを、朝方発表の経済指標が一気に立て直した形だ。
材料はS&Pグローバルの8月PMI速報値である。総合が56.0と2022年4月以来、4年4カ月ぶりの高水準に達し、サービス業は56.8と市場予想の54.0を大きく上回った。雇用の持ち直しと投入コスト圧力の緩和も同時に示され、集計元は7-9月期の成長率が年率3%近辺へ加速すると試算している。4-6月期の1.5%から倍増する計算で、前日に意識された消費減速シナリオはひとまず後退した。ただし製造業は53.2と3月以来の低さで、拡大の中身はサービス偏重である点は留意したい。
もっとも、指数の反発は素直な景気好感とは言いにくい。好指標は利下げ期待の後退と表裏一体であり、10年債利回りは4.74%前後で高止まりしたままだった。NYダウは日中に900ドル近く上昇する場面もあったが、薄商いのなかで引けにかけて上げ幅を半減させている。金利上昇を伴う株高は、割安なシクリカル株には追い風でも高PERのグロース株には逆風となるため、NASDAQの上昇率がダウを下回った構図は整合的だ。
より雄弁なのは金である。3.61%高の4,679.4ドルと3日続伸し、週間でも3週連続高となった。景気指標が強く名目金利も高止まりする局面は本来なら無利息資産に最も厳しい環境だが、それでも買われた。週内に連邦債務残高が40兆ドルの過去最高を更新し、財務省のバイバック拡大が長期金利を抑え込めなかったことが確認されたためで、買いの主因は金利水準ではなく財政そのものへの不信にある。一方でWTI原油は1.21%安の86.77ドルと反落したが、ホルムズ海峡を巡る供給不安で急伸した後の利益確定売りとみられ、明確な新規材料は確認できていない。