概況
24日の米国市場は、指数によって方向が分かれる神経質な地合いとなった。NASDAQ総合は0.77%安の25,979.66、S&P 500は0.28%安の7,653.01と下げた一方、NYダウは0.27%高の53,418.89と小幅ながら上昇して引けた。相場全体が売られたというより、半導体・AI関連という特定のグループから資金が抜け、その分がディフェンシブ寄りの大型株に移った1日と見るのが実態に近い。
売り材料は主に二つある。一つは米政府による対イラン制裁の全面適用で、ベッセント財務長官が「史上最大の金融攻勢」と表現するほどの規模となった。もう一つは21日夜に決裂した米加通商交渉である。米国は200億ドル相当のカナダ製品に50%の関税を課し、カナダは9月8日から同規模の報復関税を発動すると表明した。関税問題は当日の指数を大きく動かすタイプの材料ではないが、発動期日が確定したことで9月上旬までの警戒テーマとして残る。
コモディティでは同じ地政学材料が正反対に作用した。WTI原油は2.31%安の85.05ドルと大幅安となり、制裁という供給制約要因が出たにもかかわらず下げている。これは前週までの上昇で中東リスクプレミアムが先行して織り込まれていたためで、発表を材料出尽くしとした利益確定が勝った形である。一方で金は1.88%高の4,711.2ドルまで上昇し、8月の騰落率は15%前後に達した。財政赤字と通貨の信認をめぐる買いは、制裁報道によってむしろ強化されている。
25日は米国でケース・シラー住宅価格指数、消費者信頼感指数、新築住宅販売件数が発表され、690億ドルの2年債入札も予定されている。ただし相場の焦点は26日のエヌビディア決算とPCEデフレーター、27日から始まるジャクソンホール会合に置かれており、それまでは指標そのものより金利水準とポジション調整が値動きを規定しやすい。