概況
8月31日(月)の東京朝の時点で参照できる直近の米国市場は、8月28日(金)の取引です。この日はウォーシュFRB議長がジャクソンホールで「この夏のPCEやCPIは予想より良かったが、インフレの基調的なトレンドが意味のある形で改善したとは読み取れない」と述べたことが値動きを支配し、ドルが全面高、金が2%超の下落、ナスダック総合が0.5%程度の下げとなりました。株式全体の下げは限定的でしたが、為替と金の反応の大きさは、市場が景気そのものより金利の経路を見直したことを示しています。
見落とされがちなのは、同じ日に出た2つの実体経済データです。8月のシカゴPMIは47.1と、7月の57.6から10.5ポイントも低下し、予想の57.9を大きく割り込みました。50を下回るのは4カ月ぶりで、今年最も弱い数字です。ミシガン大学の消費者態度指数(確報)も51.7と前月比約6%の低下となり、1年先の景況感は10%、5年先は13%悪化しています。金融政策が引き締め方向を向いているところへ、製造業と家計の景況感がそろって鈍る絵が重なった形です。
この組み合わせが今週の相場観を難しくしています。インフレがまだ落ち着いていないという議長の認識が正しければ利上げ観測は残り、一方で景気指標の弱さが続けばそもそも引き締めを続けられるのかという疑問が出ます。9月1日のISM製造業景況感は、7月に55.6と2022年5月以来の高水準まで回復していた指標であり、シカゴPMIの急落が全米レベルでも確認されるかどうかを測る最初の関門です。ここが崩れれば、金利の織り込みは「利上げ警戒」から「景気減速」へ主題が入れ替わる可能性があります。
日本にとっては、31日から始まるG20アッシュビル会合が別軸の材料です。7月末の日米協調介入から1カ月でドル円は160円台へ戻っており、片山財務相とベッセント米財務長官が個別に会うかどうか、会えばどんな表現が使われるかに関心が集まります。金利差という根本要因が変わらないまま水準が戻った以上、口先での対応の効き目は前回より短くなりやすく、その点も含めて9月4日の米雇用統計までは方向感が出にくい週になりそうです。