概況
9月1日(火)の東京朝の時点で参照できる直近の米国市場は、8月31日(月)の取引です。この日の主役は地政学でした。前日30日に米軍がホルムズ海峡のラーラク島にあるイランのロケット発射装置を攻撃し、イラン革命防衛隊がヨルダン国内の米軍基地2カ所へ報復した——約1カ月ぶりの直接交戦です。海峡の機雷封鎖リスクが再燃し、WTIは3.03%高の85.93ドル、ブレントは90ドル台へ乗せました。
注目すべきは、株と債券が同時に売られたことです。地政学リスクが高まる局面では通常、安全資産として米国債が買われて利回りが低下します。ところが今回は原油高がインフレ期待を押し上げる材料として解釈され、10年債利回りは3営業日続伸の4.7%台。8月28日のウォーシュFRB議長のタカ派講演で9月利上げ観測が息を吹き返していたところへ、供給側のインフレ材料が重なった格好です。金先物が0.45%高にとどまったのも、有事買いと実質金利上昇による売りが打ち消し合った結果と読めます。
株式は主要3指数がそろって0.6〜0.7%安と、下げ幅そのものは限定的でした。市場はまだ「戦線拡大」ではなく「短期的な小競り合い」として値付けしています。この見立てが正しいかどうかは、ホルムズ海峡で実際に機雷や船舶被害が確認されるかにかかっており、そこが崩れれば原油とインフレ期待を通じた二次的な株安が始まる可能性があります。
日本市場では31日の日経平均が前週末比93円安の66,311円と小幅安で終えました。寄り付きは737円安と大きく崩れたものの、大引けにかけて戻した点は下値の堅さを示しています。1日夜のISM製造業景況感とJOLTS、そして4日の米雇用統計までは、原油と金利の両にらみで方向感の出にくい展開が続きそうです。