概況
9月2日(水)は、東京と米国で相場の方向がはっきり分かれた一日でした。日経平均は1,889円70銭安の64,325円64銭と3日続落し、東証プライムの33業種すべてが下落、9日続伸していたTOPIXもここで止まりました。一方で米国市場はS&P500が0.46%高、NASDAQ総合が0.45%高、NYダウが0.56%高と3日ぶりに反発しています。
東京市場の下げを主導したのは、国内要因である円高と金利上昇です。この日の朝、日銀審議委員の高田創氏が講演で「2026年はレジームチェンジの年」と述べ、半年に1回といった固定的なペースにとらわれず、物価の上振れを防ぐために機動的に利上げを進めるべきだと主張しました。市場が想定していた緩やかな正常化シナリオが前倒しされる可能性が意識され、ドル円は一時158円台前半まで1%を超える円高、国内10年債利回りは3.015%と1996年9月以来の水準に達しました。円高は輸出企業の採算を直撃し、金利上昇は高PERの成長株の評価を切り下げます。ソフトバンクグループが6%超下落するなど、AI・半導体関連の値がさ株が指数の下げ幅を膨らませました。
対照的に米国市場では、上昇圧力の一服が買い戻しを呼びました。8月のADP全米雇用リポートが前月比3.8万人増と市場予想を下回り1月以来の低い伸びにとどまったこと、そしてイランを巡る緊張がひとまず一段の悪化を見せなかったことで、日中に4.8%台と2023年以来の高水準を試した米10年債利回りが上昇を止めました。前日まで実質金利の上昇に押されていた金も1.96%高の4,433ドルへ戻り、WTIは0.76%高の90.91ドルと高値圏を維持しています。
もっとも、米国株の反発は材料の消滅ではなく上昇ペースの鈍化に対する反応にすぎません。原油90ドル台、米長期金利4.8%近辺という二つの重荷はそのまま残っています。当面の焦点は、4日の米雇用統計がADPの示した労働市場の減速を裏付けるかどうか、そして9月17〜18日の日銀会合に向けて円高圧力がどこまで進むかの二点です。